子供とハゲワシ

 写真家ケビンが一枚の写真を新聞に掲載したことで、世界中から注目され、後にジャーナリスト界の最高権威のある賞のピュリッツァー賞を受賞した。写真を撮った場所はアフリカの貧困国のスーダンである。92年に世界中の記者たちが挙って戦争地に赴き、戦争の残虐を訴える中、ケビンの赴いた場所は戦場ではなく、アフリカの最貧国を訪れ、飢餓に苦しむ人々について取材し、取り上げることで国際社会に貧困と食糧問題を訴え続けてきた。そして、彼のこの一枚の写真によって、国際社会は動き出したのである。
 だが、受賞者のケビンがちっとも受賞したことに素直に喜べなかった。写真による議論が巻き起こされ、「なぜハゲワシの目の前にいる子供をたすけてやらなかったのか」とか「命に対するずさんな対応」とかケビンに対する批判は後立たなかった。ケビンは沈黙のまま家に引きこもり、口を開くことはなかった。94年7月28日に彼は自ら命を絶ってしまうのであった。でも、その当時は実はケビンがハゲワシを追い払い、子供の命を助けていた。それをなぜ公言せずに口を閉じたまま、この世を離れてしまったのか?それは謎そのものだ。
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